【究極の差別?】航空会社の上級会員制度、クラス別等級制度は何故無くならないのか

 

ほとんどのエアライン各社には、自社便により多く搭乗している顧客を優遇する「上級会員制度」と、支払った運賃に応じた、エコノミー/ビジネス/ファーストの3階級※の「クラス別等級制度」があります。

(※国際線の場合。国内線の場合はプレミアム/エコノミーの2階級が一般的です。また、国際線にはファーストを超えるクラスも存在します)

 

そして、この2つの制度は、いずれもお金を多く支払った顧客(=航空会社を儲けさせてくれる顧客)を徹底的に優遇(差別)する制度設計になっています。

そしてその顧客優遇(差別)っぷりは、本当に超露骨です。

 

あなたも、中小型機での国際線・国内線利用時に、前方に一か所しかない入り口から、機体前方に配置されたビジネス(プレミアム)クラス座席の横を通過して、機体後方のエコノミークラス座席に着席した経験があると思います。

まずはそのあまりの座席スペックの格差感に、唖然としたこともあるのではないでしょうか?

 

そして、出発後はビジネスクラス以上の上級クラスが、カーテンの向こうで特別なサービスを受けている一方、エコノミークラスでは窮屈な機内で、それなりの機内食をはじめとしたサービスを受ける・・。「やっぱり、世の中金なんだな」と感じる瞬間ですよね。

もちろん、私自身はこの差別は当然の帰結であって、この格差について問題提起をしたいわけではありません。この記事では「世の中金」な究極の差別がなぜ無くならないのか、を題材に、マイラーの未来について、少し考えてみたいと思います。

 

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他の交通手段では、軒並みクラス別優遇制度は廃止/縮小の傾向に

 

この、航空会社では一般的な「クラス別優遇制度」ですが、例えばJR(旧国鉄)の場合、戦前には実は一等/二等/三等の3クラス別の運賃等級制度があったんですよ。

それが、戦後に一等/二等の二等級制度に移行し、最終的に1960年代にクラス別運賃制度を廃止し、モノクラス制度に移行しました。現在残っている上位等級は「グリーン車」ですが、あくまでクラス別運賃制度としては同一で、グリーン車料金を別途支払うことで利用できる座席、という建て付けになっています。

 

このモノクラス制への移行の理由は、諸説ありますが、「鉄道での移動が一般化し、乗客が増加したこと」「敗戦による財閥解体&国民全体の中流階級化で、下位クラスの運賃の2倍以上となる上級クラスの乗客が減少したこと」「露骨なクラス別差別について国民からの反発の声が強かったこと」があげられるといわれています。

戦後の一時期は、一等車がガラガラなのに二等車は満席ということも多かったようですので、その理由はわかる気がしますよね。

 

 

同じような上位クラス撤廃/縮小の兆候は、国内各地を結ぶフェリー▲にも見られます。

フェリーも「特等」「一等」「二等(いわゆる「雑魚寝」)」の3クラス別運賃の設定が一般的だったのですが、最近では一等の「個室」の設定がほとんどのフェリーが増えてきました。

鹿児島県の志布志と大阪を結ぶフェリーさんふらわあの新しい船「さんふらわあ さつま」が横浜で完成し、このほど内覧会が開かれました。

完成した「さんふらわあ さつま」は、全長192メートル、幅27メートル総トン数は1万3659トンです。トラックは121台、乗用車は134台積めます。
客室は117室あり、8割が個室です。スイートルームは12室で、一部はバリアフリー対応としました。ペットと宿泊できる客室も10室あります。レストランはこれまでの1.5倍に大浴場も1.7倍の広さになりました。

大阪-志布志航路の「さんふらわあ さつま」は、今月15日の下り便から就航します。料金は大人1人で片道1万3420円からです。

※2018.5.2 MBC南日本放送(鹿児島)のニュースより引用

 

このように▲、最近の新造船のフェリーのほとんどが、いわゆる「二等」に位置する雑魚寝席を設定していません。国内各地を結ぶフェリーにおいては、いわゆる「雑魚寝」座席を見つけることの方が困難なんです。

電車、飛行機などの交通手段の発達とともに、フェリーは移動手段としては時間がかかりますので、移動時間を「家族で」「ホテル代わりに安眠して」「快適に」過ごせる空間、ということを売りにするように、そのビジネスモデルが変化して来ているんです。

 

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航空会社の露骨な差別戦略はなぜ無くならないのか

 

このように、同じ移動手段である鉄道やフェリーはクラス別運賃制度の見直しに着手する一方、何故航空会社では露骨なクラス別運賃制度を継続するのでしょうか。

この問いに対する回答の一つが、次のユナイテッド航空社長のコメントに含まれています。

ユナイテッド航空の社長スコット・カービー(Scott Kirby)氏は昨年(2016年)10月、顧客の85%は同社を利用するのが1年に1度以下で、会社全体の収益の約半分にしかならないと語っている。

つまり会社の収益の半分は、15%の常連顧客が生み出しているのだ。他の航空会社でも似たような状況があるため、航空会社が客層を区分し、ファーストクラスの乗客により質の高いサービスを提供することは理にかなっているのだ。

Business insider Leanna Garfield Apr 29 2017 より引用

 

これは非常に示唆に飛んだコメント(記事)ですよね。

確かに、例えば鉄道は国内路線では運賃的にもお安く手軽ですので、特に新幹線などはまあまあ利用する機会は多いと思います。一方、国際線/国内線の航空路線って、実はあんまり利用しないことはないですか?

 

ユナイテッド航空の社長スコット・カービーが指摘するように、実は航空会社にとって約8割の顧客は1年に1度程度しか利用しない客であり、その顧客は会社の収益の約半分しか生み出さない客なんです。

そして、1年に1回くらいの利用で、ビジネスクラスを利用しようと思いますか?多分、そんなことは絶対にないと思います。ほとんどのケースで国際線であってもエコノミークラスを選ぶはずです。

 

会社の収益は残りの15%の常連顧客が生み出している。この統計データから、まずは「上級会員」の制度が生まれている、ということが何となくお分かりいただけるのではないかと思います。

上級会員が、会社の収益の半分を生み出しているんですから、その会員を優遇するのは当然ですよね。

 

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ビジネスクラス以上の乗客は、ARPUが高い顧客

次に着目すべきが、ARPUという概念です。

ARPU(アープ)とは、Average Revenue Per User、つまり顧客1人当たりの売上のことを表します。もともと通信業界の顧客1人(1回線)当たりの客単価のことを指す言葉なのですが、これを航空会社に当てはめると、ビジネスクラス以上の乗客こそが、ARPUの高い顧客に位置づけられます。

 

往復7~8万円しか払わない国際線のエコノミー旅客と、往復20万~80万円を支払ってくれる国際線のビジネスクラス旅客は、そもそもの粗利益率が全く違います。このため、航空会社にとっては、このARPUが高い顧客を増やしたい。でも、顧客の85%は年1回しか乗らない、エコノミークラスの顧客なんですよ。

そうなれば、残りの15%の常連顧客の中でも、ビジネスクラス以上のクラスに搭乗する層を徹底的に優遇して、ARPUが高い顧客を増やしたい/維持したいと考えるのが当然だと思います。

 

実は航空機の利用頻度は低い。このため、露骨な差別も目立たないので無くならない

このように、まずは飛行機に頻繁に乗る乗客は、ビジネス目的での旅行者など一握り(15%以下)であり、その利用者のARPU(客単価)を高め、徹底的に優遇することで、実際に航空会社の利益の半分以上を獲得している、というのが航空会社のビジネスモデルである、ということは理解しておきましょう。

そして、実はまだまだ日本人も含めた国内外の旅行者にとって、飛行機を利用する機会はそれほど多くないということも確かなんです。このため、現在のような会員クラス別/運賃別の、徹底的な差別も許されている(=目立たない)ということだと思います。

 

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今後のマイレージプログラムのあり方は

 

ここまで見てきたとおり、航空会社のビジネスモデルは、「1年に複数回以上搭乗する上位搭乗者が収益の柱」「ビジネスクラス以上のARPUの高い顧客を増やすことで収益の拡大につながる」という基本的な発想から成り立っています。

そして、その発想が、上級会員とビジネスクラス以上搭乗者を徹底的に優遇するというサービスにつながっているといえます。

 

でも、そんな中いち早く「それって本当にそうなの?」という疑問を持った航空会社があります。それが、デルタ航空です。

これ▲は、2016年に改定になったデルタ航空のマイレージプログラムの基本コンセプトです。

 

赤枠内をよくご覧ください。「飛行距離に応じたマイル」でのマイルの積算ではないですね。「支払った金額1ドルあたり5マイル」と、「支払った金額に対する獲得マイル」に、マイル獲得の基本コンセプトが変更になっています

この変更には、そもそも自社のフライトを多く利用してくれていた上級会員が、実は自社の利益に貢献していなかったという事実も少なからず影響していたといわれています。

 

これ、一体どういうことかというと、上級会員になると、自動的にラウンジの利用や座席のアップグレードが認められるので、実は上級会員のステータスホルダーほど、チケット自体は格安チケットを購入して、会員資格のラウンジや、座席のアップグレードを利用していた・・ということのようです。

このため、デルタ航空では真に自社に対しお金を払ってくれた人に対して、より多くのマイルを付与するよう、マイレージプログラムを見直しています。

 

上級会員であっても、格安チケットのアップグレードでビジネスクラス旅行をした方にはマイルはほとんど付与しない。しかし、エコノミークラスの一見の客であっても、そのチケットをそれなりの価格で購入した方には、購入価格に応じたマイルを付与してくれるということです。

 

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陸マイラーのビジネスクラス利用/永年SFC会員の今後は

ここまで見てきたように、航空会社の露骨な「上級会員優遇」「ビジネスクラス以上搭乗者優遇」は、あくまでこの対象の乗客が「自社にとって収益をもたらす存在である」という前提から成り立っています

その観点からすると、陸マイラーや永年SFC会員は・・何となく現在の制度の隙間をついた存在というか、胸を張って「俺たちを優遇すると、航空会社も儲かるけんね!」と強く主張できるような立場にはない気がします。

 

今後、マイル制度や上級会員制度がどのように変わるかは定かではありませんが、このような情報を念頭に置きつつ、慌てず騒がず対応できれば最高だと思います。

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