2018年5月28日(月)。この日、90歳のご高齢の女性が運転する乗用車が男女4人をはね、女性1名が亡くなるというなんとも痛ましい事故が発生しました。
事故の報道はこちらに詳しく掲載されています。
この事故の報道を見ていて、私自身、90歳のお爺さんにノーブレーキで追突され、当時乗っていた愛車が完全に廃車になった時の話を思い出してしまいました。
そして、私自身も、身内に高齢の運転者もいますので、高齢者の方の免許返納は、本当に他人事ではありませんよね。
90歳のご高齢のお爺さんにノーブレーキで追突された事故を振り返りつつ、高齢者の方のことを思うからこその「免許返納」について考えてみたいと思います。
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目次
横断歩道で停車した私に、ノーブレーキで追突!
あれは、ちょうど確か9年ほど前の夕暮れ時。夕暮れといってもかなり日は落ちていて、ライトの点灯がちょうど必要になるくらいの時間でした。ライトの点灯は必要なくらいなんだけど、でもライトの存在感は薄い。
そんないわゆる「薄暮」の時間帯といえば、お分かりいただけるでしょうか。
私はゴルフ帰りで、ゴルフ場を出たばかりの田舎道を走っていました。そして、横断歩道で横断を待つこれまた高齢者の方を発見して、停車したんですよ。停車した横断歩道は緩やかなカーブの先にある横断歩道だったんですが、カーブは緩やかだったので、見通しとしては・・100m程度はあったと思います。
横断歩道を渡られている高齢者の方は、杖を突いたこれまたお爺さん。渡り終えるまでには少し時間がかかりますが、横断が終わるのを待っていました。
そこで、バックミラーに後ろから迫るヘッドライトを確認したんです。
初めはもちろん、あぁ、後続車が来たな・・くらいだったんですが、この後続車が・・全然スピードを緩める気配がなくて。
と、いっても田舎道のカーブですので、多分、時速は40km出ているかいないかくらいだったんですが、薄暮でしかも私の車は黒色・・よほど見えづらかったのでしょうか、結局そのまま・・ほぼノーブレーキでドカンと追突です。
横断者はちょうど渡り終えたところだったんですが、私がブレーキを踏まずに追突されると歩行者まで巻き込みそうだったので、とっさに強くブレーキを踏みました。
この結果、歩行者にはぶつかることなく・・また少しカーブしていたのが幸いして、少しスピンするような感じで回転しただけで車は止まりました。
ただ、当時の私の愛車は当然ながら車体後ろ部分が完全に「アレ」な状況に。エアバックは作動しなかったものの、何となく首や腰が痛い感じで・・。
運よく車は何とか動いたので、すぐ近くの空き地までのろのろと車を移動させ、停車。ただ、リア部分が完全にダメな感じで、明らかに自走は困難です。
ゴルフ場近くの完全山道ですからね。しかももう夕暮れ。途方に暮れてしまいますよ。
そして、私に追突した車を見ると、エアバックの装着もなさそうな古いカローラで、しかもピクリとも動いていない。
私も慌てて駆け寄って、声を掛けます。「大丈夫?車動く?とりあえずそこの空き地に移動して!」
と、運転席を見ると、運転手は完全にお爺さん。もう絶対に「運転しちゃだめ」な感じのお爺さんです。マジか・・って感じです。
お爺さん、我に返ったのか、「あ、ああ・・」とかなんとか言いながら、車を移動させようとしますが、今度は縁石に完全に乗り上げてる!!「ガリガリ!ガリガリ!」とトンでもない勢いで縁石に車を擦りはじめ・・・「ちょっと!ちょっと!!ストーップ!!」って大声を出す羽目に。
お爺さん、大丈夫?落ち着いて・・お歳はいくつ?と聞くと、「85歳」という回答。こりゃダメでしょう。
ここで、横断者のお爺さんや近所の人も集まってきてくれて、何とか車を私の車と同じ空き地に移動。警察を呼ぶことにします。
でも、運転手のお爺さん・・もう完全に放心状態なのか、運転席からも降りられない様子なんです。仕方ないので、警察がくるまで私が住所やお名前を聞こうとしたんですが・・「分かんない」。
え・・自分の名前も住所も「分かんない」んですか??
約30分ほどで警察が来ましたが、警察さんもお爺さんにはお手上げで、しかもお爺さんの気分が悪そうなんで「パトカーで自宅まで送っていく」「連絡先は、車検証や任意保険の保険証で分かったのでもう家に帰してよいか」ってことなので・・。
もちろん、帰っていただきました。
そして、この様子を見ていて、事故の調書については私の主張(横断歩道待ちの私の車にノーブレーキで追突)が全面的に採用されたことは言うまでもありません。
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自宅への帰宅で任意保険のありがたさを痛感
この夕闇せまる田舎道での事故処理手続きに、本当に役にたったのが任意保険のロードサービス特約です。
お爺さんはパトカーに送ってもらってましたが、私はそうはいきませんから・・任意保険の保険会社のロードサービス特約が本当にありがたかったです。
保険会社に連絡すると、1時間ほどはかかりましたがレッカー車が来てくれて、さらにタクシーの手配までしてもらえました。(とはいえ、臨時帰宅費用には上限があるので、タクシーで最寄りのローカル線の駅まで行って、そこからは電車で帰りました。しかも、ゴルフバックを持って・・)
任意保険のこのロードサービス特約だけは、絶対に契約しておいた方が良いですよ。田舎道でポツンと事故車とともに放置される心細さって言ったらないですからね。
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次々と明るみにでる驚愕の事実
そして数日後・・保険会社から私に連絡があり、追突したお爺さんとの交渉状況について説明がありました。
【保険会社】:相手方の任意保険会社と交渉しておりますが、実は、事故の相手方の方は大分ご高齢のようで・・。
【私】:そうですね。確か85歳と仰っていましたよ。 【保険会社】:いや、90歳ですよ。 【私】:えぇ!?じゃあ、自分の年齢言えてなかったってことですか? 【保険会社】:あの・・・年齢を言えていないというか、そもそも事故をしたことを覚えていないということで・・・ 【私】:・・・(絶句)。 【保険会社】:どうやら、事故を起こしたご本人は、ご近所の方と旅行に出掛けられたということで、ご家族の方としか話せていないのですが、代理人であるご家族からも、もう100対0で(すべてお爺さん側の責任で)良いからということなのですが・・お体とかは大丈夫ですか? 【私】:ちょっと首が痛い気もしますが、病院に行くほどのことも無いと思います。 【保険会社】:そうですか・・。本来私が申し上げることではないのですが、今回の事故は100対0で相手方の過失ですので、掛かった費用はほとんど認められると思いますので、何かありましたら仰ってください。 【私】:・・・。 |
自分の年齢も答えられない。警察の事故証明の実況見分でも、氏名や住所すら言えない。
そして極めつけは自分が事故を起こしたことを覚えていない。こんなお爺さんに追突されて、愛車が廃車です。幸いケガがなかったからよかったようなものの、これ、完全な実話ですよ。
これもうかなりヤバいですよね。この状態で公道を自動車で走るって、完全に走る凶器ですよ。
私が単独走行で、しかもたまたまケガをしなかったからよかったようなものの、例えば後部座席にうちの子ども・・しかも乳児が乗っていてケガや・・後遺症でも残ったりしたら、「うちのお爺さんは認知症なのでごめんね」では絶対にすまされませんし、済ますことはできません。
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鍵を握るのは「家族」
このご高齢の方による事故。防ぐには、やはり家族の力が必要だと思います。
そもそもが判断能力が低下しているわけですからね。そして、高齢者の方の日常生活の足として、車があると便利なのも確か。
でも、近くで見ている家族なら、「もう、運転は危ない」ということはわかるはずなんです。
私は、事故の際の保険会社の口ぶりでよくわかりました。代理人のご家族は、お爺ちゃんは「もう運転してはダメだ」とわかっていたはずなんです。だから、「かかった費用はすべて(加害者のお爺さん側の)任意保険で」という会話になったんだと思います。
ただ・・事故後にそんな譲歩するなら、もっと早めに免許を返納させるべきじゃないの?・・と思いますけどね。
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免許返納に特典を付与する動きも。高齢者のために家族が真剣に考えてあげよう
例えば愛知県では、このように自主的に免許を返納される方に向け、地下鉄やバスで使える電子マネー「マナカ」5,000円分を支援する事業を始めています。
マナカ5,000円分は大したことのないお金かもしれませんが、普段の移動手段を地下鉄・バスに代えるその第一歩としては、うれしい特典ですよね。
そして、ご高齢の、判断能力が低下しつつある父母の世代に、免許の返納を決断させるのは、実は家族の役割だとも思います。
高齢の父母、祖父母を犯罪者にしないためにも、免許の返納については、ご家族が、自分自身の問題として考えてあげて欲しいな・・と思います。
本当に、今だから冷静にご紹介できますが、私の愛車は完全に廃車になりましたし、私自身ケガがなかったから良かったようなものの、もし子どもがケガしていたり、万が一のことがあったりしたら、絶対にブチ切れていると思います。
親や親せきを「走る凶器」にしたいですか?免許の返納について、ぜひ真剣に考えていただければと思います。