正直新社名のネーミングに度肝を抜かれたって人も多いんじゃないでしょうか?
ANAHD(ホールディングス)は、ANAグループ旅客収入の 日本販売分の 約8割の営業収入を誇る「航空セールス事業」を所管する「ANAセールス株式会社」の旅行事業を、同じくANAHDの子会社である「ANA X」へと会社分割により事業承継することを発表しました。
「ANA X」はANAマイレージクラブの運営をはじめとした、ANAグループのデータベースマーケティング、プラットフォームビジネスを担う戦略子会社です。
簡単に言うと、ANAHDが所有するANAセールスの事業のうち旅行事業部門をANA Xに会社分割により譲渡し、「ANA X」の下(子会社)に「ANAセールス」のうち旅行事業部門を配置する・・ってことになりますね。
そして、この事業再編と併せて発表されているのが、残った航空セールス事業と、何故か「地域創生ビジネス」等を所管する、ANAセールスの「社名変更」と「減資」です。
気になるANAセールスの新社名の名称は「ANAあきんど株式会社」・・・。さらに、減資により、資本金1億円の中小企業となることも併せて発表されています。
個人的には・・かなり迷走しちゃってんな・・というか、こじらせてる感があるのですが・・。
早速、概要をご紹介します。
スポンサーリンク
目次
ANAセールスは「ANAあきんど」へ
2021年3月に発表された「ANAセールス」の「ANA X」との実質的な統合は、急遽発表されたものではありません。
2020年10月に発表された、ANAHDの201年3月期の第2四半期決算で・・簡単に言うと新型コロナ禍でANAの決算は超絶赤字ですし、至近のV字回復も見込めないので・・。
生き残りを賭けた事業構造改革の一環として、「ANAセールス(株)」のうち旅行事業部門と、ANAグループでANAマイレージクラブの運営をはじめとしたデータベースマーケティングを手掛ける「ANA X(株)」を統合し、プラットフォーム事業会社へ再編することは、既に発表されていました。
今回の統合は、既定路線・・ということですね。
ちなみに、「プラットフォーム事業」とは、「複数のグループのニーズを仲介することによってグループ間の相互作用を喚起し、その市場経済圏を作る産業基盤型のビジネスモデル」と定義されています。
簡単に言うと、「顧客のデータ基盤を共有することで、事業の垣根を超えたビジネスチャンスを創出する事業」って感じですかね。
例えば「旅行好き」=「富裕層」=「クレカ利用多い」=「電子マネーの利用も多い」・・みたいな感じで、「旅行」という顧客データベースを起点に、クレジットカードや電子マネーなど、様々な事業への発展を狙っていく・・ということです。
本当はそんな簡単でもないのですが、簡単に言うと(笑)こんなイメージです。
そしてこのプラットフォーム事業の事例としては、「ANA Pay」事業のスタートなんかが、最も分かりやすい狙いですね。
ということで、この「ANA X」によるANAセールスの旅行事業部門の子会社化は予定通りでした。
そして、ANAセールスは、残された「エアラインセールス事業」と新たに「地域創生事業」を核に、事業継続していくわけですが・・。
衝撃的だったのは、その事業再編後の新社名です。
ANAセールスあらため、なんと新社名は「ANAあきんど株式会社」・・。
ANAの前身となる企業2社「日本ヘリコプター輸送株式会社」と「極東航空株式会社」のうち、確かに極東航空株式会社は大阪に本社を置き西日本路線を運航する会社でした。
また、ANAHDの社外役員も関西系の会社の役員経験者が多いなど関西色の強い会社ではあるのですが・・。
でも、だからと言ってさすがにこの新社名は・・ちょっとびっくりしましたね。
この新社名に込めた思いは、後日ANAHDから発表されるとのことですが、個人的にはちょっと迷走感が・・ありますねぇ。やっぱり。
新社名の意味
そして、ANAから改めて、新社名「ANAあきんど」に込めた意味が発表されました。
新しい社名にある「あきんど」という言葉には、これまで長年培ってきた「エアラインセールス事業」に加え、今後は新たに「地域創生ビジネス」にも事業領域を拡大し、それぞれを深化させることで、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の精神から、地域の皆様、ご利用されるお客様、そしてANAグループの「三方よし」を実現する会社になりたいという思いを込めています。
ANA公式発表による、「ANAあきんど」に込めた意味がこちら。
大阪(近江)商人の代名詞?ともいえる「三方よし」を経営理念として、地域創生ビジネスにも進出する意欲を込めた社名とのことです。
・・・下記に私が予想した意味とほぼ同じでしたね。公式発表はこちらから確認ができます。
スポンサーリンク
新社名に併せ減資で「中小企業へ」
そして、同日2021年2月26日に発表されたもう一つの施策がこちら。
資本金10億円→1億円への減資です。
これ、昨今流行りの・・あの毎日新聞やJTBでさえも行った、主に税制優遇措置を狙った大企業→中小企業化が目的・・というかそれ以外考えられませんね。
現在の日本の税制では、この中小企業化により大企業に課される外形標準課税の免除など、依然メリットが大きいのでこれはまあ狙いはわからないでもないのですが・・。
まあ、露骨といえば、露骨ですよね(笑)。
ANAセールスといえば、従業員数1,500人超、売上高もANAの国内売り上げの8割を売り上げる会社ですからね。旅行事業をANA Xに会社分割で事業譲渡しても、それでもかなりの巨大売上を誇る企業であることは間違いありません。
それが中小企業って・・。JTBも中小企業になる時代ですから(笑)、なりふり構わない・・って感じですね。
スポンサーリンク
ANAあきんどはどうなる?
ここまでご紹介したとおり、ANAセールスの事業再編による、旅行事業部門の「ANA X」への事業譲渡。
そして残る航空セールス事業を含めたANAセールス(株)の「ANAあきんど(株)」への社名変更は、ANAのプラットフォームビジネスへの構造改革への加速を意味するものです。
そして、「ANAセールス」改め「ANAあきんど」の減資は、中小企業になることで税制上の各種優遇措置を狙ったものであることが・・素人でもわかります。
ただまあ・・傍目というか一ビジネスパーソンから見ても、正直若干迷走気味・・ですよね。
まずは構造改革ですが・・これは「ANA Pay」のを見ていると非常に分かりやすいんですが、正直どうです?ANA Payって使ってますか??
多分、気のせいか・・気のせいではなくても使ってない・・って方の方が多いんじゃないかと思うんですが、このANA Pay、圧倒的に使いにくいんです。
というのもこのANA Pay、当然?ながらANAには電子決済の技術が無いので、完全にJCBの決済プラットフォームに相乗りしただけ。
「JCBのサービスですけど、ANAのユーザーさん、ANA好きですよね?好きならちょっと使いづらいけど我慢して使ってくださいね!!」というある意味安易な設計になっているんですよね。
正直、その覇権を巡りPayPayを筆頭とした大激戦のQR・バーコード決済サービスの業界で、本気で勝っていく気で打ち出したサービスとはとても思えません。
むしろ、どのくらいユーザーが付くかの「観測気球」なんですか?ってくらい、見切り発車的な施策だと思います。残念ながら。
一応、援護射撃として「ANAプレミアムステータス獲得チャレンジ」など、ANA Payの利用促進策は打ち出していますが・・。
この援護射撃がまた・・はっきり言って、いまいちチャレンジしようという気が起きない感じのキャンペーンです。
だってこの「獲得チャレンジ」、ANAカードやANA Payでの決済が年間最低でも400万円、実質600万円超必要になりますからね!?
うーん・・かなり微妙なんです。
完全にANAのロイヤルカスタマー頼りの、かなりニッチ(狭い)顧客層を目当ての施策にとどまっている印象です。
スポンサーリンク
大阪あきんどとは
大阪あきんどとは・・。
なんといっても「暖簾(のれん)」に代表される信用力による商売・・という印象が強いですよね。
もちろん、大阪ですから派手好き、気前がいい・・なんて印象もありますが、その根底に流れるのは「三方良し」の精神・・「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売」の発想だと、個人的には思っています。
商売が繁盛し、お客さまも喜ぶだけでなく、その利益で社会に貢献し、その名声(のれん)でさらに商売が繁盛する。
「ANAあきんど」という社名は・・そういう意図がある社名ではないかと、超勝手に思っています(笑)。 →ANAからの公式発表で、予想通りであることが判明しました(笑)。
ただ正直、ANAさんは大変な時期にありますが、矢継ぎ早に打ち出す構造改革施策も正直若干迷走気味ですからね。
さらに、中小企業化は「税金逃れ」という意味で、社会貢献という意味での名声(のれん)は下がるベクトルの施策です。これ、やっぱり迷走してますよねぇ・・。
ただ、例えば富士フィルムのように、デジカメ&スマホの普及により主力であるカメラフィルム事業の事業が一気に無くなっても、構造改革によりフィルム分野の技術力を生かした医療・医薬・化粧品分野で売り上げを伸ばしている会社もありますからね。
何となく、これまではあくまで「ANAの独りよがり」的な構造改革施策が多かったのですが、ここは「あきんど」精神で、「損して得とれ」的な、吹っ切れた施策を期待したいなぁ・・と・・。
個人的には思っています。
ということで、「ANAあきんど」さん!頑張ってくださいね!!
貯めたマイルでハワイに無料で行ける!陸マイラーのはじめ方はこちらから
私は普段の生活にちょっとの工夫をするだけで、年間50万ANAマイルを貯めています。え・・そんなにマイル貯まるの?と興味が湧いた方は、ぜひこちらも併せてご覧ください。
当ブログにアップされている、年間50万ANAマイル貯めて特典航空券を発券する方法、マイルの価値、そしてマイルの使い方は、以下にまとめています。順に読んで行くだけで、陸でマイルを貯める方法が誰でも簡単に理解できます。