LCC(ローコスト・キャリア)ならともかく、いわゆるフルサービスのレガシーキャリアなら「当然無料」なのが、航空機搭乗前の事前の座席指定です。
でも、なんとANAの国際線エコノミークラスの場合で、かつ一部の割引運賃で購入した航空券の場合なんと座席指定料金が有料なんです。これ、ご存知でしたか?
非常口座席や前方座席の通路・窓側座席という一部の座席、かつ格安運賃で購入した場合限定とは言え、ANAレベルの高級レガシーキャリアで座席指定料金が有料というのは超衝撃の事実ですよね。
レガシーキャリアでは異例の、ANAの座席指定有料サービスについてご紹介します。
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目次
有料座席指定サービスの概要
この記事で解説するANAのエコノミークラス事前座席指定有料サービスですが、原則としてANA国際線の全路線が対象となっています。
適用は、2019年5月29日以降の新規購入分から。実際の搭乗としては2019年8月19日以降搭乗分より対象になります。
これ、ANA国際線の全路線対象ってことは、アジア路線などの短距離路線でも対象ってことですから、結構条件厳しいですよね。
そして、事前座席指定が有料になるクラスは「 V、W、S、L、K」となっています。ちなみに、このクラスはいわゆる「Value」運賃であるANAの公式サイトから購入できる格安運賃のほぼすべてを網羅しています。
普通にANAのHPから東京ーサンフランシスコ路線のValueクラスを予約すると、予約クラスは「S」です。
別に格安ツアーでのチケットとかでもなく、普通にANAのHPで割引チケットを購入してもSクラスですので、座席指定有料対象チケットになってしまう。この有料座席指定サービスのレベル感は、このようにかなり一般的なレベル感であるとご認識ください。
事前座席指定有料チケットの搭乗クラスと運賃種別・マイル積算率の関係
そして、上記でもご紹介しましたが、運賃種別と搭乗クラスの関係がこちらです。
運賃種別 | 搭乗クラス | マイル積算率 |
Super Value | L/K | 30% |
Value | V/W/S | 50% |
Super Value運賃とValue運賃の場合、「V/W/S/L/K」クラスとなり、基本的には座席有料対象チケットになります。
会社の経費でチケット代金を落とせるビジネスマンの方などは、Value運賃ではなく予約変更やキャンセル、座席のアップグレードなどが可能なValue Plus運賃の予約もできるのでしょうが、一般的なレジャーユースの場合、まず間違いなくValue運賃だと思います。
このため、普通にANAの国際線航空券を購入するほとんどの方が、この事前座席指定有料対象チケットになってしまうのではないかと思います。
特典航空券は事前座席指定有料対象チケットではない!!
そして、ここでANA陸マイラーの皆様に朗報です。
特典航空券(予約クラス「X」)は、事前座席指定が有料のチケットではありません。繰り返します!特典航空券で発券したチケットの場合、一応、事前座席指定有料の座席であっても、無料で座席指定が可能なんです。
ただ、「一応」と書いたとおり、非常口座席や有料の窓側/通路側座席は多分特典航空券ユーザーにはブロックされる(本当は空席があっても座席がブラックアウトして予約ができない)気がします。
これは私の完全な予想ですが、事前座席指定でお金がもらえる座席であれば、わざわざ無料の特典航空券で乗っている特典航空券ユーザーに開放する理由はないでしょうからね。
無料で事前に座席指定もできず、実際に指定することもできない。
特に非常口座席などはそんな感じになるんではないでしょうかね。
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事前座席指定有料エリアと、座席指定料金
では、このANAの事前座席指定、実際に有料になるエリアと、座席指定料金はいくらなんでしょうか?
こちらは、ANAのプレスリリースでも示された、ANA国際線の主力航空機B787-8型機の事前座席指定有料の対象となる座席です。
図の左からが前方座席になりますが、黄色の「前方座席の通路側・窓側」の座席と、赤色の「非常口前の足元の広い座席」、さらにはその後方の黄色の「非常口座席の通路側・窓側」を指定する際に、座席指定料金が必要になります。
気になる座席指定料金は
そして、気になる座席指定料金がこちらです。
高!!
足元の広い非常口座席(赤色の座席)でなんと5,500円(欧州・北米)~4,500円(アジア)もします。これ、これまでは無料で指定できたわけですから、結構衝撃的なお値段設定です。
搭乗時間が長い欧米路線ならまだしも、東南アジア・リゾート路線でも5,000円、東アジア路線でも4,500円もします。もちろん、非常口座席、特に赤色の非常口座席は足元が超絶広くて確かに快適なんですが、これはちょっと高すぎじゃないですか?
それ以外のいわゆる前方座席もしくは非常口座席の窓側・通路側(黄色の座席)でも、座席指定で2,500円~1,500円もするんですよ。LCCでも座席指定料金はそんなにかからないのに、これ、かなり挑戦的な価格設定と言ってよいのではないでしょうか。
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ANAが座席指定料金を有料とした理由と、その真相
ではなぜ、ANAはこのエコノミークラスでの座席指定料金有料サービスの提供に踏み切ったのでしょうか。
ANAの公式プレスリリースによれば、今回の座席指定有料サービス開始の理由は以下のとおりとなっています。
「事前座席指定は、運賃(予約クラス)に関わらず先着順であったため、通路側や窓側など比較的人気の高い座席が早い段階で埋まってしまうケースが多く発生していた。」
「購入した運賃(予約クラス)の価格帯に応じたサービスを提供するために、一部の運賃(予約クラスV/W/S/L/K)を対象に、足元の広い非常口の座席や、機内前方通路側・窓側座席の一部の座席について、事前座席指定を有料化する。」
これ、要約すると、「運賃が高い方が、良い席を事前座席指定できない状態だった」ってことが言いたいんだと思うんですが、個人的には、「だったらその座席は予約クラスによって座席指定できないようにブロックしておけばいいんじゃね?」って思います。
さらに言うと、そもそもブロックしていたんじゃないかとも思うんですよね。
ということで、今回の座席指定の有料化は、プレス記事どおりの予約クラスに応じた座席指定メリットの平準化という側面と、「もともとブロックしていた座席の有料開放」(有効活用)という双方の側面があるんではないかと・・個人的には思っています。
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ダイヤモンド会員など上級クラス会員の座席指定も有料なの?
この、かなり気になるANA国際線エコノミークラス座席指定料金の有料化。
これ、ダイヤモンド会員など上級クラス会員にも適用されるのかというと、さすがにそんなことはありません。
ダイヤモンドサービスメンバー、プラチナサービスメンバーおよびその同行者(ダイヤモンド、プラチナサービスメンバーと同一の予約記録の場合に限る)の事前座席指定は、引き続き無料です。
上級クラス会員の場合、Valueクラスの購入時であっても、事前座席指定は無料のままです。
これ、何となくホッとしてしまったのですが、ANAのようなLCCでもないレガシーキャリアの場合座席に事前指定が無料なのは、別に普通なんですけどね。
何となく、ホッとしてしまうんですが、これに騙されてはいけないような気もしますね。
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まとめ
ここまでご紹介しましたとおり、ANAは、フルサービスを誇るレガシーキャリアのサービスと価格を維持しつつ、LCCばりの事前座席指定料金有料サービスを打ち出してきました。
この記事の中でもご紹介したとおり、ANAがこのサービス導入の理由としてあげる「購入した運賃(予約クラス)の価格帯に応じたサービスを提供するため」という理由だけであれば、実は、ANAが優遇したい予約クラスの方だけが事前座席指定ができるよう、座席をブロックしておけばよいだけだと思います。
このような手続きを踏まないということは、このサービスの狙いは確実にARPU(Average Revenue Per User:1ユーザー当たりの平均客単価)の底上げを狙ったサービスのように感じますね。
今まで無料で事前指定できた座席だけど・・有料か・・でも快適な座席ですから、有料であっても座席指定したい!という方は一定程度いらっしゃるでしょう。そして、例え格安チケット購入者の場合でも、この有料座席指定サービスを利用してもらえれば、これまで以上の客単価の上昇が期待できるわけです。
このサービスって誰得?っていうと、完全にANAにとってのお得がほとんどなんですよね。何しろ、これまで無料だった座席指定でお金を取りに行くわけですからね。多分、ANA国際線ユーザーの大多数を占めているであろうValue、Super Value運賃での搭乗者にとっては完全に値上げです。
その他の上級メンバーやPlus航空券を購入できるビジネス顧客にとっては、指定できる空席が増えるのだと思いますが、効果のほどはいかがでしょうかね?
特に、LCCと匹敵・・むしろそれ以上の金額が必要となる有料座席指定サービスは、もしかするとANAにとって良い印象を持ってもらえないサービスになる気もします。
まさかの事前座席指定有料の荒業を繰り出してきたANA。今後の展開に要注目ですね。
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