これは・・少なくとも「憶測記事」では済まない情報では?と思っていたら、やっぱり事実でしたね。
日本では新型コロナでANAとJALが合併!?なんてニュースが出ても、そんなわけないだろ!って感じのただの憶測(妄想)記事がほとんどなので正直全く真剣にとらえる気はないんですが・・・。
この、アシアナ航空を大韓航空が買収する!という「合併話」はやっぱり事実でした。
経緯からしても、これは仕方ないですかね。
個人的には、アシアナ航空はANAと同じスターアライアンスメンバーということもあり、ビジネスクラスでハワイに行ったりと何かとお世話になってきた航空会社ですが・・。
もし、仮に大韓航空による買収・合併となれば、当然大韓航空側が存続会社になると思いますので、スターアライアンス特典航空券供給先が一つ無くなる・・ってことになるのでしょうか。
早速、合併に向けた最新情報、そしてアシアナ航空のこれまでの経営再建に向けた動き・・・。
さらには倒産・破綻の可能性等について解説します。
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目次
アシアナ航空巡るこれまでの動き

2019年4月、アシアナ航空の親会社「錦湖(クムホ)産業」が、保有するアシアナ航空の全株式を売却し、経営再建に乗り出すことを発表しました。
つまり、アシアナ航空はコロナ前の時点で既に瀕死の状態だったんですよね。
そして、2019年11月12日に無事?買収先の企業がHDC現代産業開発に決まったことが報道されたんですが・・。
ここで直撃したのが、「コロナ」です。
このため、2020年9月11日、このHDC現代産業開発への売却が白紙撤回されることがになりました。
このコロナ禍の下で、さらにそもそも経営が芳しくなかったアシアナ航空を購入するのは正気の沙汰じゃないというのはわからないでもないので、これは仕方ないですよね。
でも、経営が苦しかったから株式を売却する予定だったはずなのに、白紙撤回ってそれ大丈夫なの?ってのは、気にはなっていたんですが・・。
このような経緯の中で、2020年11月に入り新たに浮上してきたのが・・この大韓航空による買収・合併話なんです。
過去の経緯を踏まえると、アシアナ航空単体での再建は既に「無理」と決まっていて・・さらに、全くの別業種による買収は、この新型コロナでHDC現代産業の買収劇が白紙撤回したとおり、実現可能性がほとんど無い・・。
となれば、もう同業である大韓航空による買収しかない・・というのは、考えられそうなシナリオではあるんです。
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大韓航空による買収浮上までの動き
アシアナ航空売却が白紙化 韓国政府が2000億円超の公的資金投入へ https://t.co/aJYKUgU05O
— yonhapnews (@yonhapjp) September 11, 2020
2020年9月11日に発表されたアシアナ航空株式のHDC現代産業への売却の白紙撤回。
これにより、アシアナ航空の経営権は韓国産業銀行を中心とする債権団の管理下に入りました。実は2010年から2014年までの4年間も管理下に入っていたので、6年ぶりの債権団の管理下です。
ただ、前回と今回の大きな違いは、銀行団(債権団)は既に親会社錦湖産業の下での再建は考えていない・・・ということです。
そして、この白紙撤回と併せ、韓国政府の諮問機関「基幹産業安定基金運用審議会」により、アシアナ航空に2兆4000億ウォン(2148億円)の公的資金の投入が決定されました。
この公的資金の投入により、当面の間、倒産や破綻は免れることができました。
大韓航空、アシアナ買収検討中 決定事項はなし https://t.co/xUOv8bKlEt
— FlyTeam ニュース (@FlyTeamNews) November 14, 2020
その後の動きを個人的にも注目していたんですが、2020年11月13日、上記のような記事が現地紙に掲載されています。
- 大韓航空は、経営再建中のアシアナ航空の売却先として自社が候補になっているという報道について「検討中ではあるものの決定した事項は何もない」と発表した
上記の赤字のとおり、大韓航空側も「決定した事項は何もない」としながらも検討中であることは認めているんです。

そして、アシアナ航空を管理下に置く債権団の主力銀行である韓国産業銀行は政府系の金融機関であり、さらに既に相当規模の公的資金も投入されていることから、韓国政府も大韓航空によるアシアナ航空買収を政府レベルで公式化するとのこと。
大韓航空、アシアナ航空を買収へ 韓国政府主導でhttps://t.co/cRha55ZbFP
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) November 16, 2020
そして、ついに11月16日、大韓航空の持株会社である韓進グループが、取締役会で買収を正式に決議したとのこと。
韓国の公正取引委員会も、「大手二社の合併は独占を招き問題」という基本的なスタンスを示しつつも・・。
LCCのチェジュ航空による、同じLCCのイースター航空の買収を認めた際のように、「アシアナ航空が合併以外に再生することができないという点が立証できれば、承認可能」との見解を示したとの報道もあります。
これは、どうやら買収・合併で間違い無さそうです。
大韓航空が買収・合併したら、アシアナ航空はどうなる?

大韓航空とアシアナ航空が合併したら・・。
事実上、大韓航空によるアシアナ航空の吸収合併となることが予想されます。
というのも、そもそも、今回のアシアナ航空の親会社「錦湖産業」が、保有するアシアナ航空株式を売却した理由。
直接的には、LCCとの競争の激化などの理由により、アシアナ航空の直近の2018年12月期の営業利益が約200億円の赤字であったことなど、当然ながらアシアナ航空の経営不振が主な原因ですが・・。
これ、実はそもそもの主な原因は、韓国有数の財閥である親会社「クムホグループ」の経営不振によるところが大きいんです。
このため、当初クムホグループとしては、銀行団から融資を取り付けてグループ全体の売上の6割を占めるアシアナ航空の再建を図ることを目標にしていました。
しかしながら、銀行団(債権団)から「経営不振のクムホグループに、アシアナ航空の再建を任せることはできない」「株式を売却し、クムホグループからの離脱&株式売却による資金調達が、融資の条件」との条件が提示。
これを受け、アシアナ航空とクムホ財閥全体の心中を防ぐため、およびアシアナ航空の再建のために、保有するアシアナ航空の全株式の売却を決めました。
この株式売却はあくまでクムホ財閥とアシアナ航空の存続と再建を図るための売却劇だったんです。
つまり、親会社「錦湖(クムホ)財閥」は、既に銀行団(債権団)から、「あなたたちでは経営再建は無理」と、既に見切りを付けられているんですよね。
ただでさえ経営破綻寸前・・さらにコロナが直撃し銀行や政府から多額の資金注入を受けているアシアナ航空が、大韓航空との対等合併ということは絶対にないでしょうから・・。
アシアナ航空のうち、大韓航空と重複の無い長距離路線のみ大韓航空として存続し、重複する近距離路線はリストラorLCC化など、いわゆるほぼ「解体」の道を歩むことも・・予想されますね。
そもそも収益力の面で貧弱、さらにコロナ直撃のアシアナ航空ですから、このシナリオをもあながち「無い」とは言えませんね。
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過去の主な航空会社の経営破綻
ちなみに今回のアシアナ航空は、あくまで親会社の経営不振に伴い、親会社が株式を売却するという事例です。
そして、過去には親会社から株式売却されるどころか、会社そのものが経営破綻してしまった航空会社の事例もあります。この事例を、少しだけ確認してみましょう。
2010年 JALの経営破綻

過去の主な航空会社の経営破綻といえば、まずは思い起こされるのがJALですよね。
今となっては、「え、JALって経営破綻したの?」ってご存知ない方ももしかしたらいらっしゃるのではないかと思いますが、JALは2010年に多額の負債を抱え会社更生法の適用を申請、法的整理手続きを受けました。
しかし、この会社更生法の下、給与カットや従業員数の削減などの厳しいリストラ等を経て、今では日本を代表するキャリアとしてV字回復を遂げたことは、皆様ご存知のことと思います。
そして、この会社更生法の適用申請後も、不採算路線の運航廃止等の措置はありましたが、フライトやサービスに影響が出ることはありませんでした。
また、社外から招へいされた京セラ出身の稲盛会長の指揮のもと、徹底的なサービス向上にも取り組み、今では日本でもANAと肩を並べる超絶サービスの充実した航空会社として、その名を知られています。
JALの事例は、航空会社の経営破綻=フライト停止&サービス低下を示すものではない、という典型的な事例ですね。
破綻してよくなる、ということもあるんです。
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2007年~ アリタリア航空の経営破綻

次の事例は、イタリアのアリタリア航空の経営破綻です。
アリタリア航空は、経営が悪化した2007年以降、実質破綻して国(イタリア)の管理下に入り、その後国の管理下を抜け、新たに傘下に入る他国の航空会社を巡って駆け引きを繰り広げるなど、その経営は迷走を繰り返してきました。
最終的には、2014年にエティハド航空の傘下に入り、一時的に経営は安定しましたが、2017年に再度経営が悪化。国の主導のもと従業員給与のカットや社員数削減などのリストラ策をまとめましたが、労働組合がまさかの否決。
2017年になんと2度目の倒産をしてしまいました。
ですが、このアリタリア航空、2回も倒産しましたが一応途切れることなく運行は継続しています。
アリタリア航空の場合、国(イタリア)の公営企業のような側面があるため、最後は国の資金注入がある前提なので運行を継続することができました。
しかしながら、資金難から機材への投資やサービスへの投資が進まず、特に機材の面では現時点でもかなり見劣りするサービス内容となっています。
倒産しても国を代表するナショナル・フラッグ・キャリアであり、資金が続けば運航は継続するという典型例ですが、一方で、機材の質をはじめとしたサービスの低下を招くという典型例でもあります。
2012年 マレーヴ ハンガリー航空の倒産

そして、最後にご紹介するのがこちら。
マレーヴ・ハンガリー航空の倒産です。マレーヴ・ハンガリー航空は、東欧のハンガリーのナショナル・フラッグ・キャリア(半国営の国を代表する航空会社)でしたが、2012年に多額の負債を抱え資金繰りが悪化。
アリタリア航空と同じく、国(ハンガリー)が支援に乗り出し、一旦は支援策を取りまとめましたが、結局は財政問題を理由に追加支援策が欧州委員会から禁止され、2012年2月にマレーヴ・ハンガリー航空は倒産し、同月、すべての航空機の運航を停止しました。
いわゆる金融支援策の「うち手」が全くなくなると、今後の搭乗客がいようがいまいが、そして国の支援があるナショナル・フラッグ・キャリアであろうと容赦なく倒産して、すべての航空機の運航が停止する。
その典型例が、このマレーヴ・ハンガリー航空の事例だと思います。
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まとめ

アシアナ航空の親会社「錦湖産業」による2019年4月の突然の株式売却報道から、2019年11月の売却先決定、そして今回の2020年9月の売却交渉の決裂まで、約1年半。
この間、新型コロナの感染拡大という航空産業にとっては大ダメージとなる出来事がありました。
そして、2020年11月に入り報道されているのが大韓航空との禁断の合併話なんですが・・。
これ、ここまで解説したとおり、これまでの経緯を踏まえれば全くの憶測記事・・妄想記事というわけでもなさそうだと思っていたら…。
やっぱり、事実でしたね。
日本ではANAとJALの合併!ってくらいインパクトが大きい出来事ですが、これ、本当のことになるかもしれません。
もしそれが実現したら・・多分アシアナ航空は大韓航空に吸収合併・・ってシナリオだと思いますので・・これは憶測ですが、スターアライアンスメンバーからは脱退になっちゃうんでしょうかね。
個人的にはANAマイルで特典航空券が取れる貴重な航空会社として重宝していたのですが・・。
この動き、まだまだ、目が離せませんね。
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