アシアナ航空売却が白紙化。倒産・破綻の可能性、今後のフライトやサービスへの影響は?

2019年4月、アシアナ航空の親会社「錦湖(クムホ)産業」が、保有するアシアナ航空の全株式を売却し、経営再建に乗り出すことを発表しました。

そして、この報道を受け、2019年11月12日に無事?買収先の企業がHDC現代産業開発に決まったことが報道されたんですが・・。

なんと、2020年9月11日、このHDC現代産業開発への売却が白紙撤回されることが報道されました・・。

正直、この売却劇は何だったんだ・・という気がしないでもありませんが、新型コロナで航空産業を巡る経営環境は一変しましたからね。

このコロナ禍の下で、そもそも経営が芳しくなかったアシアナ航空を購入するのは正気の沙汰じゃないというのはわからないでもないので、これは仕方ないと言えそうです。

でも、経営が苦しかったから株式を売却する予定だったはずなのに、白紙撤回で大丈夫なの?ってのは、気になるところですよね。

アシアナ航空の倒産・破綻の可能性など、今後の経営について考察します。

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当面の倒産・破綻は回避

2020年9月11日に発表されたアシアナ航空株式のHDC現代産業への売却の白紙撤回。

これにより、アシアナ航空の経営権は韓国産業銀行を中心とする債権団の管理下に入ることになります。

実は2010年から2014年までの4年間も管理下に入っていたので、6年ぶりなんですね。

ただ、前回と今回の大きな違いは、銀行団(債権団)は既に親会社錦湖産業の下での再建は考えていない・・・ということです。

そして、この白紙撤回と併せ、韓国政府の諮問機関「基幹産業安定基金運用審議会」により、アシアナ航空に2兆4000億ウォン(2148億円)の公的資金の投入が決定されました。

この公的資金の投入により、当面の間、倒産や破綻は免れることができそうです。

この公的資金で息をつないでいる間、債権団による「プランB」(=自主経営再建)を図り、業績好転後に売却先を再度探す・・という展開になりそうです。

アシアナ航空の株式売却の理由

そもそも、今回のアシアナ航空の親会社「錦湖産業」が、保有するアシアナ航空株式を売却した理由。

直接的には、LCCとの競争の激化などの理由により、アシアナ航空の直近の2018年12月期の営業利益が約200億円の赤字であったことなど、当然ながらアシアナ航空の経営不振が主な原因ですが・・。

これ、実はそもそもの主な原因は、韓国有数の財閥である親会社「クムホグループ」の経営不振によるところが大きいんです。

このため、当初クムホグループとしては、銀行団から融資を取り付けてグループ全体の売上の6割を占めるアシアナ航空の再建を図ることを目標にしていました

しかしながら、銀行団(債権団)から「経営不振のクムホグループに、アシアナ航空の再建を任せることはできない」「株式を売却し、クムホグループからの離脱&株式売却による資金調達が、融資の条件」との条件が提示。

これを受け、アシアナ航空とクムホ財閥全体の心中を防ぐため、およびアシアナ航空の再建のために、保有するアシアナ航空の全株式の売却を決めました。

つまり、この株式売却はあくまでクムホ財閥とアシアナ航空の存続と再建を図るための売却劇だったんです。

そして・・親会社「錦湖(クムホ)財閥」は、既に銀行団(債権団)から、「あなたたちでは経営再建は無理」と、一旦見切りを付けられているんですよね。

HDC現代産業開発が売却先に決まり、同社は高級ホテルやHDC新羅免税店などを運営する会社ですので、同社の下での債券なら、いきなりサービスカット!LCC化!なんてことにはならず、現在のサービスレベルが維持されるのかな・・と思っていました。

でも、この売却劇は白紙になってしまいました。

そして、銀行団(債権団)は錦湖産業グループの経営管理下での経営再建を目指すつもりは、前述のとおり既に無いんです。

ということは・・今後の展開としては、銀行団(債権団)は次なる売却先を早期に探すべく、アシアナ航空を徹底的にリストラすることが予想されます。

高級路線であったHDC現代産業開発だからこそ、ある程度サービスは維持されるかな・・と思っていたんですが、銀行団にとっては債権回収が目的であって、とにかく目先の目的は「売却先を見つけること」です。

容赦なくサービスを切って強引な黒字化を目指すことが予想されるので・・。

今後は何があってもおかしくはなさそうですね。

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過去の主な航空会社の経営破綻

ちなみに今回のアシアナ航空は、あくまで親会社の経営不振に伴い、親会社が株式を売却するという事例です。

そして、過去には親会社から株式売却されるどころか、会社そのものが経営破綻してしまった航空会社の事例もあります。この事例を、少しだけ確認してみましょう。

2010年 JALの経営破綻

過去の主な航空会社の経営破綻といえば、まずは思い起こされるのがJALですよね。

今となっては、「え、JALって経営破綻したの?」ってご存知ない方ももしかしたらいらっしゃるのではないかと思いますが、JALは2010年に多額の負債を抱え会社更生法の適用を申請、法的整理手続きを受けました。

しかし、この会社更生法の下、給与カットや従業員数の削減などの厳しいリストラ等を経て、今では日本を代表するキャリアとしてV字回復を遂げたことは、皆様ご存知のことと思います。

そして、この会社更生法の適用申請後も、不採算路線の運航廃止等の措置はありましたが、フライトやサービスに影響が出ることはありませんでした

また、社外から招へいされた京セラ出身の稲盛会長の指揮のもと、徹底的なサービス向上にも取り組み、今では日本でもANAと肩を並べる超絶サービスの充実した航空会社として、その名を知られています。

JALの事例は、航空会社の経営破綻=フライト停止&サービス低下を示すものではない、という典型的な事例ですね。

破綻してよくなる、ということもあるんです。

2007年~ アリタリア航空の経営破綻

次の事例は、イタリアのアリタリア航空の経営破綻です。

アリタリア航空は、経営が悪化した2007年以降、実質破綻して国(イタリア)の管理下に入り、その後国の管理下を抜け、新たに傘下に入る他国の航空会社を巡って駆け引きを繰り広げるなど、その経営は迷走を繰り返してきました

最終的には、2014年にエティハド航空の傘下に入り、一時的に経営は安定しましたが、2017年に再度経営が悪化。国の主導のもと従業員給与のカットや社員数削減などのリストラ策をまとめましたが、労働組合がまさかの否決。

2017年になんと2度目の倒産をしてしまいました

ですが、このアリタリア航空、2回も倒産しましたが一応途切れることなく運行は継続しています。

アリタリア航空の場合、国(イタリア)の公営企業のような側面があるため、最後は国の資金注入がある前提なので運行を継続することができました。

しかしながら、資金難から機材への投資やサービスへの投資が進まず、特に機材の面では現時点でもかなり見劣りするサービス内容となっています。

倒産しても国を代表するナショナル・フラッグ・キャリアであり、資金が続けば運航は継続するという典型例ですが、一方で、機材の質をはじめとしたサービスの低下を招くという典型例でもあります。

2012年 マレーヴ ハンガリー航空の倒産

そして、最後にご紹介するのがこちら。

マレーヴ・ハンガリー航空の倒産です。マレーヴ・ハンガリー航空は、東欧のハンガリーのナショナル・フラッグ・キャリア(半国営の国を代表する航空会社)でしたが、2012年に多額の負債を抱え資金繰りが悪化。

アリタリア航空と同じく、国(ハンガリー)が支援に乗り出し、一旦は支援策を取りまとめましたが、結局は財政問題を理由に追加支援策が欧州委員会から禁止され、2012年2月にマレーヴ・ハンガリー航空は倒産し、同月、すべての航空機の運航を停止しました

いわゆる金融支援策の「うち手」が全くなくなると、今後の搭乗客がいようがいまいが、そして国の支援があるナショナル・フラッグ・キャリアであろうと容赦なく倒産して、すべての航空機の運航が停止する

その典型例が、このマレーヴ・ハンガリー航空の事例だと思います。

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アシアナ航空のサービスレベルも維持される?

ここまで過去事例でご紹介したとおり、特にLCCではなく、利用顧客の多いフルサービス・キャリアの場合であって、かつその後の資金調達のめどがある場合、その公共交通機関としての性質上、破綻が直ちにすべての航空機の運航停止にまでつながる危険性はそれほど高くないと思います。(※ただし、特に欧州を中心に、LCCは突然の破綻で運航停止は「ざら」にありますのでご注意ください。)

特に今回のアシアナ航空のような国を代表するキャリアの場合、倒産させることの社会的な影響が大きいですし、親会社による株式の売却は今後の経営再建のための条件ですので、前提となっているのは「運航の継続」です。

また、アシアナ航空自体が経営破綻したわけでもありません。

このため、すぐに運航停止する危険性については心配する必要はないと思います。

一方で、前述のとおり気になるのは乗客に対するサービスの低下です。

HDC現代産業開発という高級ホテル+免税店を手掛ける企業グループなら、いきなりLCC化に持ち込む可能性は低いように感じていましたが・・。

この交渉が売却した以上、債権団は売却先を探すため徹底的なリストラに踏み込む可能性があります。採算性が高くない路線やサービスなどはどんどん無くなってもおかしくありません。

アシアナ航空のサービスについては特に悪い印象はないので・・是非あのサービスを維持して欲しいなぁ・・と思います。

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まとめ

アシアナ航空の親会社「錦湖産業」による2019年4月の突然の株式売却報道から、2019年11月の売却先決定、そして今回の2020年9月の売却交渉の決裂まで、約1年半。

この間、新型コロナの感染拡大という航空産業にとっては大ダメージとなる出来事がありましたので、仕方ないと思う反面、振り出しに戻った感は否めませんね。

過去の事例を見ても、また、政府の資金投入が行われたことを踏まえても、今後いきなり航空機の運航停止という事態に陥る可能性は低そうですが・・。

この売却交渉の決裂により、今後より収益性を高めるためのリストラやサービスの縮小は避けられないかもしれませんね。

サービスレベルは低下してしまうのか?貴重なスターアライアンス特典航空券供給先であるアシアナ航空の今後の動向を注視したいと思います。

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