【仁義なき戦い】JAL対ANA。ハワイ路線の覇権を巡る攻防と旅行者・マイラーへのメリットを考察

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2019年春に予定されている、ANAのハワイ路線へのA380投入まで、あと約半年に迫ってきました。

このANAのA380投入により、ハワイ路線を牙城とし、ハワイでは一歩リードしているJALと、カタログ価格で500億円を下らないといわれる超大型機A380を3機もホノルル路線で飛ばす予定のANAの「仁義なき戦い」が熾烈さを増してきています。

現状のハワイ路線の競争状態は、「ハワイといえばJAL」状態。

シェアは、JALが34%程度、ANAが14%程度と、JALが圧勝の状態ですが、ANAも超大型機を飛ばす以上、ガラガラ状態で飛ばすわけにはいきません。

このため、他社・・特にトップシェアを持つJALから顧客奪い取るか、もしくは未開拓の顧客層を増やしていくほかありません。そして、JALも当然指をくわえて見ているわけではない。

JAL対ANA。ハワイ路線の覇権をめぐる競争状況と、我々旅行者・マイラーへの「良い」影響、メリットについて考察してみました。

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ANAがA380でガチンコ勝負を仕掛ける

まず、勝負を仕掛けていったのはANAです。

ANAは、2015年に経営破綻したスカイマーク再建のスポンサーになり、同社の経営破綻の引き金ともなったエアバス社との債権関係の兼ね合いから、やむなく?の面も大きいのでしょうが、超大型機A380を3機発注。

2016年1月の中期経営計画で、その3機すべてを、東京ーホノルル路線に投入することを発表しました。

現在、ANAが東京ーホノルル間で飛ばしている機材はB787-900型機を3便で、座席数は1機あたり約250席。対するA380は520席仕様ですので、単純計算で、1日あたり約2倍強の、1,560席もの座席数を提供することになります。(2019年春に、まず2機から投入予定)

3機全部が投入されたら、1日当たり750席だったANAのハワイ便の座席数が、一気に2倍強の1,520席ですからね。

実はANAにとってもこの座席数の増は、「本当に満席にできるのか」というプレッシャーだと思います。

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さて、このANAのA380ですが、ハワイ路線のシェアでは後塵を拝する航空会社が投入する超大型機ということもあり、単なるエコノミー/プレミアムエコノミー/ビジネスの3クラス構成では弱いと踏んだのでしょう。

ファミリー旅行者や、はたまたVIPの旅行者を意識して、ファーストクラスの設定や、上記の通りエコノミークラスへの上記「カウチシート」の投入など、新たな需要を取り込もうと、まずは機材の面から新しい試みを打ち出してきました。

A380「ANAカウチ」シートの家族での利用方法・利用料金・予約方法を徹底解説!

2024年1月27日

そりゃそうですよね。520席もあるんですから、エコノミーばっかり並べていても仕方ありません。ファーストクラスは言わずと知れた客単価の高い路線ですし、上記「ファミリーカウチ」も、予想ではありますがエコノミーよりは客単価を押し上げる効果があります。

このように、ANAは超大型機A380を前面に押し出し、JALの牙城、ハワイ路線に殴り込みをかけてきたわけです。

もちろん、JALもこの動きを指をくわえてみているわけはなく、2018年に入り、し烈な競争が始まりました。

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JAL対ANA ANAが先手を打つも、JALが万全の態勢で待ち受ける体制

Round1 ラウンジ対決

まず、バトルの第一弾、それがこのラウンジ対決です。

これまで、ANAはホノルルのダニエル・K・イノウエ空港に自社ラウンジを所有していませんでした。このため、同じスターアライアンスメンバーであるユナイテッド航空ラウンジを借用していたんですが・・ユナイテッド航空ですからね。はっきり言ってショボかった。

このため、満席時は1日当たり最大1,500人以上もの搭乗者が見込まれ、もちろん全員がラウンジを利用できるわけではありませんが、少なくともかなりラウンジ利用者が増えることを踏まえ、2018年5月に、海外の空港では唯一となる自社ラウンジの建設を発表しました。

正直、日系航空会社のラウンジとユナイテッドラウンジでは、サービスの質として比べるべくもありませんからね。ANAの搭乗者にとってはこれは魅力的なサービスといえます。

この動きに、JALも即座に反応。先んじること約半年、2018年8月に、ダニエル・K・イノウエ空港に新しい自社ラウンジ「サクララウンジ・ハレ」をオープンさせました。

このラウンジは、これまでの本館にあったサクララウンジに、さらに追加で設置したラウンジです。JALのホノルルのサクララウンジは超充実のラウンジで、このANAの新ラウンジ建設が無ければ、多分、JALはもう一つラウンジを作ろうとは思わなかったはずです。

ここにも、攻めるANAと、万全の態勢で迎え撃つJALという構図が垣間見えます。

ただ、日系航空会社のラウンジが充実するのは、ANAマイラーとJALマイラーにとって嬉しいことですよね。

Round2 ポータルサイト対決

そして、ポータルサイト対決も白熱しています。

というか、ANAとJAL、AIを用いたアシスタントサービスなど、ほとんど似たような構成のポータルサイトをオープンさせています。これ、本当に覗いてみてください。完全にかぶってます。

サイトの名称もANAは上記のとおり「ANA HAWAii」ですし、JALは「JAL HAWAii」ですからね。おんなじやん・・って感じです。

ポータルサイトでも、ガチンコ対決の様相を垣間見ることができます。

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Round3 ハワイアン航空を巡る攻防

さらに熾烈なのが、この「ハワイアン航空」を巡る攻防です。

上記のとおり、JALは2018年10月からの、ハワイアン航空との提携を発表しました。マイレージ提携およびコードシェア便の運航により、ハワイアン航空便への搭乗によりJALマイルが貯まるのはもちろん、ハワイアン航空の日本ーハワイ便やハワイ諸島間の運行便に、JALマイルで搭乗することができるようになりました。

これ、かなり大きい改善点で、マイルを使ってハワイにかなり旅行しやすくなりました。さらにハワイ諸島間の旅行にも使えるのは大きく、オアフ島だけでなくハワイ島など他の島への訪問が格段にしやすくなりました。

でも、ハワイアン航空って、実は2018年3月まではANAと提携していたんですよね。

この時期のANAとの提携解消、JALとの提携開始って、絶対に「なんかあった」としか思えませんよね。前述のとおり、ハワイ諸島間の便に圧倒的に強いのはハワイアン航空ですし、ハワイアン航空の日本発ハワイ便までコードシェアすることで、ハワイには格段に行きやすくなります。

そのハワイアン航空との提携を、JALがANAから奪いに行ったんですよ。これ。

ANAとしては、そもそも自社便の座席数が2倍近くなる、ということもあり無理に提携関係の維持を狙わなかったのかもしれませんが、かなり複雑な競争環境がここでも垣間見えます。

ちなみに、ハワイアン航空は、初年度年会費無料のゴールドカードを発行することで、いきなりステータスマッチでゴールド会員資格がもらえます。

ラウンジ利用などもできますので、ハワイアン航空利用を予定している人は下記関連記事も併せてご覧ください。

Round4 ファーストクラス対決

客単価が高く、利益率も高い超富裕層を獲得するための競争も始まっています。

既に発表のとおり、ANAのA380にはリゾート路線としては珍しいファーストクラスが設置されます。シートは上記のとおり、プライベート性の高い、完全個室の作りです。これ、芸能人などのプライバシーを意識したい超富裕層の取り込みを狙っていると思われます。

この動きを、JALも黙って見ているわけではありません。年末年始期間限定で、成田-ホノルル線にファーストクラスを設定してきました。

まさに芸能人や超富裕層の正月休みにピンポイントで期間設定してきた、という感じですね。

ここもなんとも熾烈ですが、攻めるANAと守るJAL。完全にガチンコ、がっぷり四つの状況と言えそうです。

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JALはホテルアーリーチェックインサービス、自動チェックイン機など、防御を固める!

JALはこれ以外にもハワイ路線のシェアNo1という利点を生かし、様々なサービスを展開してきています。

例えば、ホテルのアーリーチェックインサービス。ハワイ到着は午前中の便ばかりですので、このアーリーチェックインサービスは嬉しいサービスです。さすが・・わかってる!って感じのサービスですよね。

また、JAL専用セルフサービスチェックインエリアのオープンも嬉しいところです。ハワイに手荷物なしで行く人はいませんので、チェックインがかなり混雑しますよね。

このセルフチェックインでスピーディにチェックインできるのは非常に嬉しいサービスです。その他、2018年後半~2019年春に掛けてのJALの新しいサービスは、下記関連記事をご覧ください。

JALハワイ便の8つの新サービス「Style Yourself」の全貌。ビジネスクラス機内食新サービスも!

2018年9月14日

このように、王者JALとしては、ANAのA380の就航を準備万端の態勢で迎え撃つ準備が整いつつあるようです。

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JAL対ANAの攻防が旅行者・マイラーにもたらすメリット

マイルで特典航空券が取りやすくなる

ここまでJAL対ANAの徹底対決の構図をご紹介してきました。

この対決は、「いかに自社の座席を顧客に買って・乗ってもらえるか」という戦いですから、我々顧客にとってはよりサービスが充実することを意味しています。つまり、メリットがあるということですよね。

まず、予想される第一のメリットは、「マイルで特典航空券が取りやすくなる」ということです。特に、ANA便のハワイ路線は、マイルを使った特典航空券が取りづらいことで有名でした。というか、この特典航空券を獲得するのはほぼ職人技に近い難易度でしたからね。

ANAマイルでなかなか取れないハワイ路線特典航空券を予約する裏技!【超実践編】

2018年8月15日

この「マイルで特典航空券が取れない」点が、まずは大幅に改善することが予想されます。

ANAの平子社長は2018年の株主総会の席上、A380の3機導入により、ハワイ路線の「特典航空券の取得が容易になる」ことを述べています。

結局、客層は同じで、普段出張で貯めたマイルを使ってハワイに行く人は非常に多い。マイルを貯めて使って……という好循環が顧客との持続的関係を築く。

一番人気のハワイ線に大型機を入れて、マイルを交換しづらい繁忙期でも席を取りやすくなることをうたっていきたい。高齢者が増えてくれば、観光路線に対する関心も高まると考え、手を打っている。

東洋経済ONLINE記事より引用

平子社長は同じことを、2017年4月の東洋経済の取材に対しても述べています。

ANAマイラーにとってまさに念願の「貯めたマイルでハワイ!」が、比較的容易に実現する・・・ようになってほしいですね。

ANAマイルで夏休みハワイ!ビジネスクラス特典航空券を家族4人分予約した方法とは?

2018年9月15日

上記関連記事のように、私はANAではハワイ便の特典航空券をどうしても取れなかったので、アシアナ航空のソウル発ビジネスクラスでハワイ便特典航空券を取りましたが・・こんなことをしなくてもマイルでハワイに行けるようになることを期待したいと思います。

「期待したい」というのも、社長が上記のように述べているとはいえ、そして、多分実際に特典航空券の発券枠は増えることが予想されるとはいえ、増える特典航空券枠以上に、ANAマイルでハワイに行きたい方は多いと思うんですよね。

このため、実際にどれくらい取りやすくなるかは、実は蓋を開けてみないとわからない点も多いとは思っています。

ただ、さすがのANAとはいえ、A380の搭乗率を高めるのはかなり苦戦すると思いますので、マイルの特典開放枠をかなり開放して、座席を埋めに行く可能性はあると思います。

搭乗率等による直前開放なども、増えてくるかもしれませんね。

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ハワイ便のチケット価格が下がる

経済学の世界の初歩中の初歩が「需要と供給」の関係です。

需要が少なく、供給が多いと価格は下がり、需要が多く供給が少ないと価格は上がる。ここまでは良いですよね。

この関係をハワイ路線に当てはめてみると、まず需要については、ハワイへの旅行者は年間約150万人程度とほぼ一定です。需要がほぼ一定の中、座席を供給する1社の座席数が約2倍に増える・・そうなると、必然的にチケット価格は下がることが予想されます。

そして、これは多分ですがANAだけが下がるのではなく、全航空会社一律で下がることになると思います。

そうすると、実はその価格下落圧力の直撃弾を食らうのは、シェアNo1であるJALということになります。

このため、JALとしては様々なサービスの拡充により「JAL便への顧客の囲い込み」を図っている、ということでしょう。一方で、ハワイ便のうちあまり人気のない航空会社・・例えばエアチャイナやデルタ便などは、もう少し価格が下がることが予想されます。

また、自社だけでは座席を埋めることが難しくなると、旅行代理店を利用していわゆる「格安ツアー」で座席を埋める可能性もあり、いわゆる「格安チケット」が出回ることが多くなることも予想されます。

いずれにせよ、チケット価格が安くなることは嬉しいことですよね。

サービスの質が上がる

そして、これはここまでJALとANAの対決の構図の中でお気づきのことと思いますが、JALがANAに対し徹底対抗すること、さらにANAもA380の座席を埋めるために新たなサービスを繰り出すことにより、明らかに、サービスのレベルが上がっています。

このように、互いに切磋琢磨することで、実は顧客にとってはサービスの向上につながるんですよね。

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まとめ 競争の激化がサービス向上につながる

以上、JAL対ANAの全面戦争の構図と、それによる旅行者およびマイラーへのメリットについて考察してきました。

この対決により、既にJAL、ANAともにわくわくするようなサービスを打ち出してくれていますので、我々旅行者・マイラーにとってはありがたいことづくめです。

ANAのA380の予約開始は、2018年の秋を予定しているそうです。

予約開始を、楽しみに待ちたいと思います。

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